私の歩いてきた道
子供時代を過ごしたビュシエールにあった生家で、父の働く作業場から流れ出す香りが、家中に漂い満たしていたことを思い出す。父は、シャルキュティエ(ハム・ソーセージなどの肉加工食品専門の職人)だった。オーブンから取り出したばかりのパイ皮包のパテ、豚の頭肉のパテゼリー寄せ、乾燥中のドライソーセージ、ブタの胸肉の燻製、グリル用のソーセージを作るための生肉を混ぜ合わせる時の匂いなどが、香りの記憶となり、私の料理人として初めて心の高ぶりを感じさせてくれ、仕事を始めた頃のインスピレーションを与えてくれるものだった。
そして、人生の中で強い衝撃を受けたのは、1984年ユージェニー・デ・バンのミシェル・ゲラールのもとで、たぶんニコラ・ド・ラボディが主宰する研修でだった。それ以後、私を魅了し続けることになる世界を発見したのだ。思うに、この日から、料理が私の毎日を導き、限りない情熱を人生に与えてくれるようになった。